大好きな絵本

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     小国より大国、中小企業より大企業、そして経済成長が何よりも優先的。負け組、勝ち組の言葉に現れているように、現代は何かと日向の存在が絶対という価値観がある。勿論、お金は無いよりあったほうがいい。たとえば絵本の場合、多くの人が心打たれ、魂をゆすぶられる作品のほうが、出版社にとっても私たち読者にとってもうれしい。
     そんな秀逸な絵本が日向の存在だとすると、勿論日陰の絵本もある。むしろ、こちらの方が数多く存在する(誤解しないでほしいのだが、日陰だからといって必ずしも劣る絵本、ということではない)。日向と日陰の境界線は、販売冊数で決まる。聞いた話では、初版から1週間の売れ行きで、その後絶版になるか再び書店に並ぶかが決まるそうだ。

     ところで、「だるまちゃんシリーズ」でおなじみのかこ さとしさんの新刊絵本が、昨年から今年にかけて続々出版されているのはご存知だろうか。主に、かこさんが約40年前に書いた絵本の続編である。「からすのパンやさん」「どろぼうがっこう」「あおいめのめりーちゃん」(以上全て偕成社)など。かこさんは、新聞のインタビューで「描きたいものがまだ300ほどある」と語っている。88歳にしてこの創作意欲。子どもの興味に応える作品作りに情熱を傾けているからこそだろう

     前述の「だるまちゃん」シリーズ最新版である「だるまちゃんとにおうちゃん」が、2014年7月号として福音館書店の月刊絵本「こどものとも」版で出版された。新しいだるまちゃんのお話が読める。それは子どもだけでなく、だるまちゃん絵本を読んで育った私たち大人にとっても嬉しいニュースだ。福音館書店の月刊絵本は、出版されてから人気のある作品は「こどものとも傑作集」としてハードカバー化し、出版される。もちろん、過去のだるまちゃんシリーズも全部ハードカバー化されている。

     月刊絵本こどものともは、読者の人気が高くハードカバー化をのぞまれているのにも関わらず、実現されていない絵本も数多くある。個人的には、菊池日出夫さんの「のらっこシリーズ」である。このシリーズは、菊池さんの幼少期の思い出をベースにした物語。長野県南佐久郡の自然の中で育つ子どもたちのお話だ。

     菊池さんは、2000年発売のこどものとも(年中向き)176号「ラッキー」折り込みふろくでこう語っている。「人が自然の中で、潜在意識の奥深い所で、生命体としての安心感を抱いて生きていた、そういう時代の空気が、今の子どもたちに伝わればと願っている。」山で野良犬の子どもを拾って育てるこのお話は、私も過去に野良犬を拾った経験や飼い犬との思い出に浸りながら読みふけった。本作以外にも、のらっこシリーズでは自然と子どもとの関わりや、人同士の関わりがイキイキと描かれている。

     子育てにおいても、生活の中で色々なことが出来るようになるハレの成長と共に、嫌々や駄々こねなどケの成長も、子どもにとっては大事な人生の局面である。日向と日陰、ハレとケ。光と影は絵本や子どもにもつきものだが、どちらも大切な存在である。もし、月刊絵本でハードカバー化された絵本が日向の絵本で、そうでない絵本が日陰の絵本だとしたら、私は日陰にそっと彩りを添える絵本も大好きだ。




     

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